学校薬剤師に興味はあるけれど、いまいちどんな仕事かわかっていない。そんな人も多いのではないでしょうか?
大学の講義や実習で体験するのでぼんやりとはわかっているけれど、実際に社会人になるとあまり馴染みがなく謎が多いですよね。
そこで、今回は学校薬剤師として働くにはどうすればいいのかということについて紹介します。学校薬剤師の仕事内容が気になっている人もぜひ参考にして下さい。
学校薬剤師になるには?
就活や転職活動をする時に病院で働きたい人や薬局で働きたい人は、それぞれが出している求人を探して条件に合ったら応募するのが一般的です。
ところが、ハローワークや転職サイトで探しても学校薬剤師の求人は見かけないため、どうやってなればいいのかわかりにくいですよね。
まずは、学校薬剤師になるにはどういった手順を踏めばいいのかご紹介します。
所属している会社に確認する
最初に、自分が所属している会社に確認してみるのが大切です。会社として学校薬剤師の仕事を請け負って従業員にその役割を振り分けていることが多いです。
もしも、現在所属している会社が請け負っているのでならば、同僚の誰かがその地域の学校薬剤師になっています。
その会社で勤務していれば、高い確率で学校薬剤師の仕事に就くことができます。
学校薬剤師として働きたい希望を伝えておけば、その役割が優先的に回ってくることでしょう。このパターンだとラッキーですよね。
焦らず待っていれば、年度末などのタイミングがあなたに話が回ってきますので、どっしりと待ち構えておけばOKです。
地域の薬剤師会に連絡する
学校薬剤師は求人を出しているわけではないのです。ほとんどの学校や市区町村は、地域の薬剤師会に仕事を依頼しています。
なので、地域の薬剤師会に募集しているのか確認してみるのが重要です。その時に欠員が出ていれば、応募するだけですぐになれます。
学校薬剤師として働くには、周囲の理解が必要でなかなかハードルが高いので意外にも募集していることもあります。
もしも、現在は募集をしていなくても学校薬剤師を希望している旨を伝えて欠員が出た時に連絡をもらえるようにしておくのが大切です。
こればかりはタイミングなので、連絡してみなければ募集中なのかはわかりません。しかし、気長に待っていれば、いつかは希望が叶う時が来ます。
ハローワークや転職サイトをいくら探しても求人は出てこないので、地域の薬剤師会に連絡するのがセオリーとなります。
学校に連絡しても意味がないかも
「学校薬剤師なのだから、直接学校に連絡して採用してもらえばいい」と思う人もいますよね。しかし、直接学校に連絡してもあまり意味がないのかも。
なぜなら、学校や市区町村→地域の薬剤師会→調剤薬局という形で仕事を依頼して学校薬剤師をやってくれる人を探していくからです。
採用を地域の薬剤師会に任せてしまっているのに、学校や市区町村が直接採用するわけにはいきませんよね。
ダブルブッキングになってしまったら、大変なので地域の薬剤師会を窓口として任せているのです。
そのため、地域の薬剤師会もしくは、所属している会社に欠員がないか確認してみるのが重要といえます。
【注意】学校薬剤師は本業で働くものじゃない
病院や調剤薬局で働くのがイヤになってしまったので、学校薬剤師に関心があるという人もいます。ところが、学校薬剤師の仕事は基本的に「副業」として働きます。
もしくは、保険薬局で地域支援体制加算の要件を満たすために……という薬剤師もいるかもしれませんね。
というわけで、学校薬剤師1本で生計を立てることは不可能です。そこで、学校薬剤師の給料や注意点などをご紹介します。
学校薬剤師の給料(手当)
学校薬剤師の仕事は、プールの水質検査や教室の空気検査、給食室の検査などがイメージしやすいですよね。
その他にも生徒へ薬物乱用防止の啓発活動をしたり、先生へ生徒がアナフィラキシーショックを起こした時のエピペンの使用方法の講習を行なったりなど多岐に渡ります。
仕事内容が多岐に渡るとはいえ、毎日出勤する必要はなさそうですよね。
検査は、定期的に実施する必要はあっても、頻繁にやるものではありませんし、薬物乱用防止教室も新入生の入学に合わせてせいぜい年に1回ほどです。
毎日学校に出勤するわけではなく年に数回ほど出勤するだけです。多くても月に1回ペースの仕事となるため、基本は副業として行ないます。
ちなみに管理薬剤師の場合でも、兼務する事は問題ありません(他の薬局で働くのはNGですけどね)。
年に数回ほどの仕事ですから、多くの報酬は望めません。自治体によっても変わりますが、多くの自治体では年収として10~20万円程度と考えてもらえばいいです。
学校薬剤師だけで生活していくことは不可能ですが、管理薬剤師にとっては副業ができるというのはメリットと言えるかもしれません。しかも、それほど労働時間は多くないため、時給としてはかなり高いといえます。
いつものルーティンワークから抜け出して、いつもと違う仕事をするのは気分転換にもなります。
薬物乱用防止教室は、普段の業務では使わないような知識が必要となります。覚せい剤や麻薬、大麻などの有害性を学び、生徒たちに啓蒙していくのは、自分自身の経験にもなります。
それで、月に1~2万円もらえるのであれば、いいお小遣い稼ぎになりますよね。
嫌がる経営者もいる
学校薬剤師は副業としては効率良く稼げて、経験にもなるため学校薬剤師にさらに興味を持った人もいますよね。
しかし、薬剤師本人は希望したとしても、それを嫌がる経営者は多いです。なぜなら、現場で働いてもらった方が会社の利益になるからです。
学校薬剤師の仕事は、地域への貢献活動としての意味合いが強いです。そのため、地域に根ざした経営をしている会社であれば問題なく送り出してくれるでしょう。
ところが、地域の薬剤師会などには所属せず独自の活動で利益を追い求める経営者から見たら、あまり価値のないものになってしまいます。
「それならば、休日に学校薬剤師の仕事をすればいい」と思う人もいますよね。
しかし、学校薬剤師の仕事は平日の日中での業務になることがほとんどです。
本業をある程度、犠牲にしないと勤まらない仕事なので、職場の理解がないと活動するのは、かなり難しいのです。
有給休暇を使うにしても、インフルエンザやノロウイルス、花粉症などで比較的混み合う1~2月に現場を抜けられてしまうと同僚が困ってしまいます。
それを無視してまで活動しようとなると人間関係が崩れるなど本業に支障が出てしまう可能性があります。やはり本業は大切です。
周囲からの反感を買いながらも、そこまでしてやる必要があるのか微妙なところです。
もちろん、地域に貢献することが会社を長く続けることにつながると考える経営者もいます。まずは、自分の所属している会社に相談してみるのが重要です。
その後、どうしても理解が得られないというのであれば転職を視野に入れるという手段もありです。なぜなら、地域貢献を良しとしないような調剤薬局で働く将来は明るくないからです。
確定申告が必要
サラリーマンだと会社が源泉徴収をしてくれているため、税金に関しては会社に任せっきりになっている人も多いですよね。
サラリーマンとして受け取る給料は、給与所得として会社が処理してくれるので本人は何もする必要がありません。年末調整までしてくれるので、税金に関する知識がなくてもなんとかなってしまいますよね。
しかし、学校薬剤師の報酬は雑所得として受け取ることになります。雑所得が1年間に20万円を超える場合には確定申告をする必要があるのです。
これまで確定申告をしたことないという人もいますよね。学校薬剤師の報酬は、自治体によって変わってくるので20万円を下回ることもあり得ます。
学校薬剤師として仕事をしたから必ず確定申告をする必要があるというわけではなく、報酬の金額によります。
地域貢献活動だからと報酬を気にしていない人もいます。報酬を把握しておくことは重要ですね。
まとめ
学校薬剤師は特別な免許が必要なわけではありませんが、誰でもなれるわけではありません。一番の壁は、やはり職場の理解です。しかし、誰かがやらないといけない仕事でもあります。
普段から本業を一生懸命に行なって、同僚や経営者と円滑なコミュニケーションで良い関係が築ければ喜んで送り出してくれるはず。
本業も学校薬剤師も一生懸命に頑張ることが大切ですね。