薬剤師が「辞めたい」と思ってしまった時、仕事はきっと嫌になってるし、もしかしたら人間関係が最悪かもしれないですよね。
出勤するのもつらいはずだし、明日からの事を想像するだけで苦痛なはずです。
これは私が日々、薬剤師採用業務を行っている中でも感じている事で、やはり環境が悪い職場で勤務していると、いずれは「限界」が来てしまう人が多いんです。
そういう私も「いち薬剤師として」経験した事があって、最寄り駅まで通勤出来るものの、そこから薬局まで遠回りして通勤していたなんて事があります。当時は、一刻も早く辞めたい状況でしたね。
ただ一言で「薬剤師の仕事を辞めたい」と言っても、いくつかのケースが有るはずです。それによって対処もまた変わりますよね。
- 今の仕事が嫌で、転職したい
- 我慢しながら、働き続けるか悩んでる
- 薬剤師そのものを、辞めたい
この記事では上記の3つのケースについて、薬剤師が仕事を辞めたいと思ってしまった時の対処法について解説していきます。
本当につらいなら転職も考えなくてはいけないんですが、そういった点にも触れつつ、上手にこの状況を乗り切りたいですね。
1.今の薬剤師の仕事は辞めたい
ケース1です。この「今の仕事を辞めたい」と思う薬剤師の場合、簡単に言うと転職を考えているという状況になってくるはずです。
- 仕事内容に面白みがない
- 人間関係が悪い
- 収入や将来のこと
- 上司がしょぼくて尊敬出来ない
- 今の職場に将来性が見えない
上記は一例ですが、一つ、あるいは複数の事が重なって、仕事を辞めたくなってしまうんですね。
ちょっと職場の風通しも悪いし、そのせいで仕事に積極的になれない。
少しっくらい人間関係が悪くても、仕事内容が面白ければそれに打ち込める事が出来ます。逆に、多少仕事がつまらなくても、人間関係に恵まれていればそれなりに働いていけるもの。
今の薬剤師の仕事を辞めたいと思ってしまったなら、特にまだ若い20代、30代のうちに転職を検討するのは大切な事なんです。
転職しにくい時期がある事に注意
20代、30代の薬剤師ならば、求人も多く、転職活動はスムーズにいくはずです。でも「転職する」ってどこか面倒に思ってしまう薬剤師が多い。
それは、転職に失敗するかもしれない気持ちや、「今じゃなくてもいいかな」という思い。ただこれって、問題を先延ばしにしているだけなんです。
3年後、10年後、あなたが今の職場で生き生きと働いている未来を想像出来ますか?
確かに転職って「今じゃなくてもいい」ケースもあります。でも「あの時辞めて、転職しておけば良かった」という事が生じるのもまた、転職活動の難しさなんです。
例えば結婚したばかりだと、落ち着かない時期も増えてなかなか転職しづらいです。「ローンを組む」とかにも影響してきますからね(勤続年数3年などが必要)。
また当然なんですが、経験を積むに従って年収が上がります。そうすると、年収がダウンする転職ってしづらくなってくるんです。
「たまに今の職場を辞めたいと思う」くらいなら、少しは我慢して働く事も大切かもしれません。
ただ、毎日のように「もうこの仕事辞めたいな」「薬剤師になったんだから面白い仕事がしたい」そんな風に感じてしまっているなら、転職活動はスタートする時期に来ていると考えて間違いありません。
「今の薬剤師の仕事辞めたい」と思っても、すぐに辞めるのは得策とは言えないんです。なぜなら、時期によっては求人が少ない事もあるから。
そのため、転職活動を少し開始して、あなたの希望の求人が見つかれば退職に向けて動き出せば大丈夫です。
利用者満足度が高くて、薬剤師登録者数の多い「薬キャリエージェント」を利用してまず一歩踏み出して見て下さい。
まずはキャリア相談・転職相談という形で、アドバイスをもらうのがおすすめです。
2.辞めたいけど今の薬剤師業務を続けるか悩んでる
ケース2。これって結構多いケースで、「辞めたいな」となんとなく思っている。でも踏ん切りがつかず、薬剤師として今の仕事を続けるか悩んで働いている状況です。
もしあなたの年齢が、40代後半~なら、なるべく辞めない方がいいです。なぜなら、新しい環境に「経験者」として転職するのは、意外とハードルが高いものだからです。
ただまだ20代、30代であるとか、そもそも今働いている職場が1社目などであるならば、外の世界を見てみるという選択肢は考えた方がいいかもしれませんね。
将来は長い
私、つまりこの記事のライターですが、40歳の薬剤師です。もしこの記事を読んでるあなたが、30歳前後であるなら、私の事は結構な「ベテラン薬剤師」と思うはずです。実際、調剤経験も長いですしね。
でも40歳になって思う事があって、それは「まだまだ将来は長過ぎる」という事なんです。
今は定年再雇用制度で定年は65歳。将来はもっと伸びるはず。私は40歳なんですが、まだ最低でも25年も働かないといけないんです。
40歳という結構なおっさんでありながら、まだ社会人人生、なんと半分も折り返してないです。
人生って短いようで長いです。特に仕事って人生の中で時間が占める割合が大きいし、大切にして欲しい時間なんです。
「ワークライフバランス」って言いますが、余暇生活はとても大切です。だから、働いている時間は少しでも充実した時間として過ごすことが、長い人生とても重要になってくるんです。
薬剤師として将来を描けるか
今の仕事を辞めたいと思ってるけど、どうしようか悩んでる。我慢して働こうかなとも思ってる。そう思うなら、私なら転職活動だけでもしてみて、外の世界を見ることをおすすめしたいです。
ちなみに私も何回も転職してますが、良くも悪くも色んな経験をした事が生きてます。
転職したけどブラックだった……という経験は残念ながら無いんですが、色んな職種を見ることで、何が自分に合った仕事なのかが良く見えてくるんです。
薬剤師として今の職場だと明るい将来をそれほど描けないのなら、あなたにとって良い転機と思う事。長い人生のうちで、転職がたやすく出来るのは若い時だけなのですから。
40歳過ぎてからだと、転職したいと思っても、相当苦労します(白目
辞めないほうがいいケースは?
そうは言うものの、「今の職場で働き続けた方が良いケース」だってもちろんあります。それはずばり、周囲で働いている他のスタッフが生き生きと働いている職場です。
でも辞めたいっていう理由が、年収面や通勤時間であったりする場合は、それでも仕事を続ける事は難しいかもしれません。それは仕方ないです。
ただ、上司・同僚が、ただ仲が良いだけじゃなく、共通の仕事上の目標に向かって働けているなら、少し年収が低くたって「やりがい」をとった方が必ず良いです。
少し今はつらいけど、10年後を考えても今の職場で働けるのは悪くないかもなと感じるなら、転職は少し待つ選択をしても良いはずです。
1,2年我慢して働いても、結局は転職してしまうぐらいなら、いま転職活動を始めた方が良いです。これは時期がどうこう以前に、年齢的に若い薬剤師の方が需要が高いから。
働きながら転職活動して、今の職場で感じる不満やギャップを埋めてくれる求人探しをしてみてください。
これも上で紹介したように、薬キャリエージェントなどでアドバイスを受けつつスタートすれば問題は無いですね。
3.薬剤師を辞めたい
3つ目のケースですが、見出しの通り、薬剤師を辞めたいと思ってしまっている人。
厳しい言い方をすると、10年前までとかなら問題なかったと思うんです、薬剤師を辞めても。だって「やっぱり薬剤師として働こう」と思ったら、すぐにまた働ける事が出来たからです(今はまだ出来ます)。
でも今あなたが仮に30歳として、10年後、つまり40歳になったとき、正社員として薬剤師の仕事に携われるかどうかはかなり微妙です。10年後の将来なんて分からないので、「40歳以降の中途は採用しない」業界になってるかもしれないからです。
とは言え「薬剤師が余るぞ!」言われ続けて何十年。この先も余ることは無いとは、思います。なんだかんだ、薬剤師を募集している企業は多岐に渡りますからね。
とは言え、薬学部を卒業して薬剤師国家試験に合格しても、違う道に進む人ってそれなりにいませんでしたか?
いくら将来薬剤師が過剰になるかも……とは言え、やっぱり強い資格。一度は薬剤師の道を捨てて、違う道に進むのだって全然アリです。資格に縛られるなんて、本末転倒ですからね。
ただし、何度か転職して薬剤師を辞めたいというのならともかく、そうじゃないなら数回は転職をしてみた方がいいです。単に職場環境が悪いだけかもしれないので。
薬剤師辞めて何になる?
薬剤師を辞めたい!けど他に何をしていいか分からないのではちょっと不安ですよね。
- 起業したい
- ノマドワーカーになりたい
- 一般企業で働きたい
など、何かあなたの中で目標があるのなら、恐れずに飛び込んで見るのも長い人生では大切な事です。
年老いてから「あの時こうしておけば良かった……」なんて後悔するのは嫌ですよね。
本当なら新たな挑戦も、薬剤師であれば「派遣をしながら」行えれば収入も得られるし良いんですが、派遣薬剤師の需要って時期によって大きく変化するからあまりおすすめ出来ません。
でもあなたがもし薬剤師の資格を持って無かったらどうでしょうか?普通に就活したり、転職したりしますよね。資格に縛られるなんていう事もないんです。
本当に薬剤師を辞めたいと思っているなら、資格は大きな保険。仕事が無くなるっていう事は可能性としてはとても小さいです。思い切って飛び込む、まず退職してしまうのも勢いがあって良いものです!(自己責任ですが、人生なんてそんなものですから)
さて、3つのケースについて「薬剤師の仕事を辞めたい」と感じてしまった場合についての対処法をお伝えしてきました。
では、どうして「薬剤師を辞めたい」「今の仕事が嫌」と思うようになってしまったのでしょうか?以下、そうした思考に陥りやすい原因を紹介していきたいと思います。
薬剤師を辞めたいと思ってしまう理由って何?
今の仕事が嫌で辞めたい、薬剤師そのものを辞めたい、いずれにしてもそう思う「きっかけ」が合ったはずですよね。
私自身、多くの薬剤師と一緒に仕事をしたり、上司や同僚、そして部下も転職していきました。その理由を聞くと(又聞きも多いですが…)、結構共通点があります。
あなたが以下にあてはまっているのなら、今の仕事を辞めて違う道、つまり薬剤師として別の働き方をしてみるのも検討してみる必要があるかもしれませんね。
人間関係が最悪
これはどんな職種(薬局や病院など)でも同じだと思うんですが、スタッフ間同士の関係性が悪いと働き続けるのはかなりきついですよね。いずれ限界に達するので、ほぼ無理です。
逆にそこそこ同僚に恵まれてるなら、仕事って続ける事が出来るものです。
人間関係の難しいところは、すぐには解決出来ない事。あなたが「この人嫌だな」って思う人ほど、なかなか辞めません。
薬剤師の仕事を辞めたい理由って人それぞれあると思うんですが、人間関係が原因なら、とっとと辞めた方があなたのためです。他人のせいで自分の人生が消耗するほど無理して働く必要なんて無いですよね。
薬剤師として成長出来ない
例えば薬局であれば「研修制度が整ってる」事を理由に就職する人ってかなり多いです。学生が就職活動するにあたって、そういった点って結構重視されるポイントですよね。
でも実際、着実に薬剤師として成長出来るかどうかって、周囲の環境に大きく左右されます。決して大手チェーン薬局だから良いという訳じゃなし。
むしろ中小規模で社員間の距離が近いほうが、情報交換や働きやすさがあり、モチベーションを維持しやすく、結果として薬剤師として研鑽を積むことが出来るケースも多いです。
大手がいい、中小がいい、そういう事じゃなく、あくまであなたが置かれた環境(配属先)次第になってきますね。
あまり個人的には「薬剤師は一生勉強するべき!」といった固い感じは好きじゃないんですが、自然と勉強しようかなって思わせてくれる環境はあります。
あなたが薬剤師として将来成長している姿を描けない職場に身をおいているのなら、転職は検討して見ることも視野にいれる必要はあります。
年収面で不満
意外と多いのが、年収面の不満で辞めたいと思う薬剤師です。特に3年目くらいの薬剤師に多いのが特徴です。入社時点って、ある程度納得して薬局なり病院で働き始めます。その時点なら問題は無いんです。
でも少し経験を積んでくると、結構色んな事が見えてきます。同業他社の年収はどうなのか?大学同期はどれだけの年収をもらってるのか?
お金って、人生で一番大切なものでは無いですよね。でも結構大事です。30代、40代と生活していくのには、とても大きなお金が掛かるし、あなたは奨学金を抱えているかもしれません。
30歳くらいの薬剤師って、一番転職で年収が上がりやすい時期なんです。「自分を査定してもらう」ではないですが、一度転職活動してみて、どれだけ年収が上がるか求人探ししてみるのもいいですね。
上記の記事は「3年目薬剤師」という形で書いていますが、30歳前後の薬剤師に読んでもらえれば役に立つはずです。
薬剤師として研修出来ない
これは環境的な要因ですね。日々の仕事が忙しすぎて、勉強どころじゃない、ただ働いているだけ。そういう状況に陥ると、薬剤師として勉強はおろか、やりがいすら失われて行きます。
「研修なんかどうでもいい」っていうタイプの薬剤師もいますが、やっぱり真面目な人が多いのが薬剤師。
自主的に勉強するのがきつくても、研修制度の整った職場であれば、薬剤師としての力を着実に付けつつステップアップする事が可能ですよね。
本来は自分で書籍を買うのもいいと思うんです。ただ、結構高いのも事実。奨学金などであまりお金に余裕が無いなら厳しいですよね。
それならば「働く職場」という中で、研修を受けさせてくれる環境は、将来を考えると捨てがたい要因かもしれませんね。
「研修が充実してないから辞めたい」というのは、実は本質から少しずれていて、本当は仕事そのものが面白く無いケースがほとんどなんです。
薬剤師としてやり甲斐をもって働ければ、自然と分からない事は調べるし、「今の薬剤師の仕事は辞めたい」とはならないんです。仕事自体に不満を感じていませんか?
あなたに合った働き方を探したい。面白い仕事がしたい、そう思うなら転職を少し視野にいれつつ、キャリアアドバイザーに相談してみましょう。
薬剤師の今の仕事を辞めたい。そう感じる事が多いなら、働き方を考える時期にきているのかもしれませんね。将来は長いので、色んな事が出来るはず。
あまり落ち込む必要なんてなく、色んな将来の選択肢を選べるのが薬剤師資格の強みです。
前向きに考えて行くことが大切。薬剤師の資格はもう捨ててしまいたい、そう思ってしまったとしても。将来は長いのですから。