【薬剤師】救急病床での病棟業務って何をやるの?【病院への就活】

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薬学生が就職活動で病院を考えている。もちろん薬剤師の転職活動でも。

それなら、救急救命センターで働く薬剤師や救急認定薬剤師を目指している薬剤師に憧れたり「そもそもどんな仕事なんだろう」って思ったりした事がありませんか?

もしあなたが2020年放送のアンサングシンデレラを見たのなら、気になった人も多いかも。眼を皿にしてあのイケメンはどんな仕事をしているのかを見ていた人もいるはず。

そこで、救急病床での病棟業務のあれこれをご紹介します。

「救急病床での業務」と言っても、病院によって細かい仕事内容はもちろん変わってきます。その点は踏まえた上で、就職活動の参考にしてみてくださいね。

救急病床って何?

救急病床というのは正式な名称ではありません。一般的には、救急救命入院料を算定している施設救急指定病院などの一般病床の一部を指しているものです。

ICU(集中治療室)やHCU(高度治療室)を含む場合もありますし、病院独自の専用病棟を指す場合もあります。オペ後の管理というのもありますし、精神科にも救急病床がありますね。

つまりは、病院ごとに細かい定義は変わるということ。ちなみに、救急救命センター(いわゆる救外)は基本的には「外来」という括りなので、救急病床とは異なります

さらに、精神科の救急病床を持っている病院はかなり少ないですが、精神科疾患を持つ人が身体上の理由で救急入院するときは、入院病床の調整が大変になることも。

精神科の場合は、精神科専門病院かどうかで変わってきます。専門病院なら救急病棟が拡充されています。

救急病床の大まかなイメージとしては、救急車経由で入院して緊急性が高かったり、重篤度が高かったりする患者さんが最初に入院する病床と思ってくれればイメージがつかめるかもしれませんね。

そして、即日手術の後に一時的に入念な観察のために救急病床が使われることもあります。

薬剤師業務からすると、救急病床に入院する患者さんは「当院でお薬もらったことないんですね。わかりました、持参薬を確認させてくださいね」となることが多いです。

短期間でしっかり患者と向き合うのが救急病床といえますね。

薬剤師の救急病床病棟業務とは?

では、薬剤師が携わる救急病床業務。実際にどんな業務があるのか具体的に紹介します。少しイメージをつかんでみてくださいね。

持参薬確認

これは、最も大事と言ってもいい業務の一つです。救急で来る人は現病歴が不明なことも多く、家族から渡されたどっさりの持参薬を見ながら薬歴を確認し、必要な情報を主治医などと共有します。

病院ではセントラル業務も持参薬を確認してくれますが、初めに携わるのは薬剤師。聞き取りもしつつ、入院前の服薬状の問題点がないかも確認しているんです。

お薬手帳とは異なる薬剤が入っていたり、いつ処方されたものかなと心配になる薬があったり、思いもよらぬサプリメントがあったりと驚くことも多い業務です。

投与設計のお手伝い

抗菌薬や持参薬継続など投与設計のお手伝いも大事な業務。そこにやり甲斐を見出す薬剤師は、かなり多いかもしれませんね。

救急患者は肝不全や腎不全を起こしている場合も多く、薬物治療の投与設計の補助だけでなく、持参薬の継続や用量の増減量も提案することがあります。

特に、専門外の薬剤継続の必要性についは医師も悩むところらしく、薬剤師の提案前に聞かれることも多々。オールマイティな薬剤の知識や思考が必要となるので、とてもやりがいのある分野です。

ルートの管理

意外と知られていない業務がルート(※一般的に「点滴」の事を言う)の管理です。

中心静脈、末梢静脈の両方が入っているけどどっちを使ったほうがいいのか、末梢静脈のルートの本数が複数あって、どのルートからどの薬剤を入れたらいいのかというのは看護師さんをよく悩ませる問題なのです。

そこで、薬剤師が配合変化を考えながら一緒にルート管理をします。

ルーチンの組み合わせだと特に問題はないのですが、見たこともない組み合わせであれば書籍と睨めっこということもしばしば。

薬そのものの性質について深く考えることができますし、学生の頃に習った化学の知識が使えるようになると言えますね。

また、IN・OUTバランス(※水分出納のこと)を考えると、実際投与された水分量という事も気になってくるポイントです。必要に応じて、他の職種とも情報交換する必要が出てきますね。

患者、患者家族への服薬指導

救急病床といえども、服薬指導は基本となる業務。基本的に救急病床にいる期間は短い事も多いです。

そのため『次の病棟担当の薬剤師へとしっかり引き継いで一貫した指導をできるように』というのは職場のルールで決まっているかもしれません。

細かいところは違っていても、大体の方向性は同じで困ったときは以前の担当に話をしたりできるというのは「薬局というチームだからかな」と思えるはずです。

ただし、救急の場合は直接の意思疎通が難しいということも多々あるので、なかなか実施できないこともあります。それぞれの病院によって状況は違うかもしれませんね。

効果の確認、有害事象の評価

もちろん、効果の確認や有害事象の評価も業務として行います。新規薬剤の投与開始タイミングと検査値の異常が重なれば、多くが薬剤性の有害事象と言えます。

当然そんな事は主治医だって注意しています。薬剤師だって経験を積まなければなかなか出来る事ではありません。

持参薬を含めた相互作用まで見て評価できるといいなと、仕事を通じて感じられるでしょう。

スタッフとの情報共有

最近の病棟業務はスタッフのカンファレンスへの参加がかなり浸透してきています。薬剤師もカンファレンスに参加していろいろ情報共有しています。

どんな内容かと言われると、主には服薬状況・薬の管理状況・特殊な薬剤について。

この3つは可能であれば伝えるようにします。内容については、どの職種間でカンファレンスを行うかにも左右されるかもしれませんね。

救急認定薬剤師という資格

冒頭に某ドラマのことを書きましたが、救急認定薬剤師というものもあります。これは、日本臨床救急医学会が認定している制度で、令和3年現在250人弱の人が取得しています。

日病薬の認定薬剤師で2年以上救急医療に従事している人が申請可能で、単位の取得や症例報告も必要のため、それなりにハードルが高いと言えますね。

この症例報告は救急病床での病棟業務で経験した症例でももちろん大丈夫なので、救急病床でより専門性を高めたいと思う人は救急認定薬剤師の取得を目指す人もいるようです。

救急病床での経験を活かして、D-MATなどの救急災害医療に携わる薬剤師もいます。日常の業務とはかけ離れていますし、「有事の際」なのであまり出動機会は無ければいいですよね。

でも社会に直接的に貢献したい、緊張感の中で自分の能力を最大限に生かしたいという人には向いているかもしれません。

「薬剤師の救急病床」感じるやりがい

薬剤師の救急病床での病棟業務。一番のやりがいは、いち早く薬物治療の方針決定に総合的に参画できることです。

患者さんが置かれている状態をきちんと理解し、それまでの服薬状況などを把握しより良い治療のために尽力して、それが良い結果となった時は率直にとっても嬉しいもの。

救急病床では薬剤師の知識だけでもいけませんし、患者さんや他のスタッフへのコミュニケーション力だけでもいけない。全体的なバランスが求められているような気がします。

「一般病床に移るまでのつなぎとか、実際に患者さんに直接向き合う時間が短い」なんてことも時々言われるかもしれません。

でも救急病床から一般病床へと移動になった時も上手に薬剤師同士で引き継ぎをすることで、より細かく薬物治療の評価や問題点の解決に役立つことができます。

その基礎を提供できるというのは救急病床ならと言えるのです。

まとめ
薬剤師の救急病床での病棟業務について、仕事内容ややりがいについてお伝えしました。

通常の病棟業務と異なるのは、救急であるが故に展開が早いということ。素早い判断を求められることも多く、薬剤師の職能を十分に発揮できるのではないかと思います。

 

勉強する姿勢を忘れずに邁進する事が大切ですね。