病院薬剤師として働くメリット・デメリットを紹介!薬学生の就職活動の参考に

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2020年には病院薬剤師が主役のドラマが放送され、病院薬剤師が世間に広く知られるようになりましたよね。

「ドラマで知ったけど、薬剤師って大変なお仕事をしてるんですね。」と患者さんから声をかけてもらうこともありました。仕事の認知度が上がるとうれしいですね。

さて、そんな病院薬剤師の仕事の現実ってどうなのかな?と疑問に思うことはありませんか?

今回は、病院薬剤師として9年経験した私が、病院薬剤師として働くメリット・デメリットついて紹介していきます。

学生で就職先として病院を考えている、悩んでる人のお役に立てればなと思います。

病院薬剤師として働くメリット

調剤薬局やドラッグストアなど、薬剤師としての就職先が数多くある中で、病院で働くという事はどんなメリットがあるでしょうか。

「メリット」というと打算的かもしれませんが、働くからには仕事を通じて得るものが大きい事は大切ですよね。

まずは、病院薬剤師として働くメリットについて紹介していきます。

メリット①:注射薬を勉強できる

調剤薬局やドラッグストアでは取り扱うことができない薬剤があります。それは注射薬です。

最近は、在宅で点滴をされる患者さんもいるので、調剤薬局でも輸液や注射薬を在庫することも増えて来ています。しかしやはり取り扱う注射薬の数は、病院の方が圧倒的に多いです。

「注射薬のことをしっかり勉強したい!」と考えてる方は、病院で働くことが一番の近道です。ただし、病院を選ぶときは急性期がある病院を選んだ方がいいでしょう。回復期等、病状が安定してくると注射薬の出番は少なくなってくるからです。

注射薬を扱う時に考えなければいけないのは、皮下注射・静脈注射・筋肉注射・点滴静注・皮内注射など、一言で注射と言っても、投与経路が薬剤により様々です。

また、注射薬は混合することによって、沈殿物が生じたり、外観が変わったり、薬剤の効果がなくなるなど、配合変化が起こる薬剤があります。そのため、注射薬の組み合わせにも注意が必要です。

そして、もう一つ重要なことは、点滴の速度。カリウム製剤のように、急速に静脈注射をしてしまうと心停止を起こす薬剤もあります。他にも、ミノマイシン製剤のように急速に投与すると血管痛が現れる薬剤もあります。

添付文書や文献から、適切な速度や濃度を計算し、安全に投与されているのかを判断しなければなりません。

このように、注射薬を取り扱う際には、内服薬や外用薬とはまた違う視点で注意を払う必要があるので、「病院薬剤師として注射薬をもっと勉強したい!」と考える人には、最適の環境と言えますね。

調剤薬局で注射剤を扱うケースはほとんど無いですよね。病院薬剤師として働く大きなメリットの一つが、注射薬へ関われるという事です。

メリット②:DI業務でチーム医療に貢献できる

病院薬剤師として重要な業務は DI 業務です。DI とはドラッグインフォメーションの略で、薬剤の情報を医師、看護師などの医療従事者に伝えることで、チーム医療に貢献していくお仕事です。

「薬学管理のプロ」としてやりがいを得られます。

昔は持参薬など「バラ錠の鑑別をすぐに出来る」のがプロ扱いされてたけど、最近はそういうのは少ないですね。

医師からは「腎機能が悪い患者に適切な用量は」「妊娠や授乳している使用できる薬剤は」など薬学・薬理に関わる多岐にわたる質問。

看護師からも「冷所保管の薬剤が室温に置かれていて、どうしたらいいか?」栄養士の方からは「食事に影響する薬剤がないか?」等々、毎日多くのことを質問されます。

DI業務から、薬剤師だけでは気づかない視点に気づかされることも多くあります。

病院に採用されている薬剤はもちろん、採用されていない薬剤、また 市販薬のこともしっかりと情報収集、蓄積をしておくのも DI 業務のひとつです。

薬のことで困ったことがあれば、真っ先に頼りにされるDI業務。役に立っているという充実感を持てますし、やりがいのある業務と言えますね。

メリット③:ハイリスク薬を取り扱うことができる

調剤薬局やドラッグストアでは取り扱うことができないハイリスク薬に関わることができます。

サムスカのように、入院条件の下で開始しないといけない薬剤などもありますし、バンコマイシンや抗てんかん薬はTDMをして、適切な血中濃度か確認する必要もあります。

病院では、患者さんの状況をすぐに確認することができます。副作用モニタリングを行い、安全に薬を使用できてるかどうかチェックしていくのも薬剤師の仕事です。

多岐にわたる医療用医薬品を取り扱う事が出来る病院薬剤師は、日々の業務から幅広い知識や経験を得やすいと言えますよね。

メリット④:医療従事者と交流ができる

病院内には様々なスタッフがいます。医師・看護師・看護助手・薬剤師・栄養士・理学療法士・作業療法士・医療事務・ソーシャルワーカーなど、多くの職種の方と交流することができるます。

病院内では、他職種でカンファレンスが盛んに行われており、薬剤師の目線では気付かなかったことに触れることができます。

そのような多職種の目線を知ることで、病院薬剤師として、一歩寄り添った医療を提供することができるようになります。

メリット⑤:治験業務を経験できる

治験とは、世の中に流通する前の薬剤を、製薬会社が設けた基準・条件に当てはまる人が、本人の同意のもとで投与を行い、副作用や血中濃度などを追跡・調査していく、臨床試験のことです。

治験業務はCRCが派遣されてくるので、 そのCRC の方の指示のもとに、薬剤師は薬剤の保管方法や薬剤の調製、薬剤投与の記録を行っていきます。

治験を行う病院は、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」という規則の要件を満たす病院だけが選ばれるので、一般的には大学病院などの大病院がよく行っています。

もちろん、条件を満たせば、中小規模の病院でも治験が行われることはありますが、大病院ほどの高頻度ではありません。

病院薬剤師として働くデメリット

今まで病院薬剤師の業務内容のメリットをお伝えしてきました。

このように、病院にいないとなかなか経験できない業務が多く、やりがいのある仕事で、薬剤師としての専門的知識を存分に活かせる職場だと思います。

メリットばかりなら多くの薬学生も「病院薬剤師に」と思ってくれるかもしれません。ただ現実では、病院薬剤師ならではの働くデメリットもあります。

デメリット①:病院薬剤師は年収が低い

イメージでもそうですし、病院薬剤師の求人を見たことがある人はもうすでに分かってるはず。調剤薬局、ドラッグストア、病院で分けると最も給料の相場が低いのが、病院薬剤師です。

ネットで検索すると「病院薬剤師 給料 安い」なんて出てきます。MRが「先生!」と薬剤師に話しかけてくる光景はよく見ますが、実際はMRよりもずっと給料は安いんですよね。

ただ、病院の中でも、高い給料で募集をしているところもありますので、自分がやりたいことと、求める給料がマッチするところを探していくことが大切です。

年収を理由に病院に就職しない、あるいは転職してしまう薬剤師は実際多いです。

デメリット②:夜勤がある

病院の規模には寄りますが、病院薬剤師は夜勤(当直)が発生する職場もあります。

夜勤をやって、さらに他の職種よりも給料が安いとなれば、金銭面やライフワークバランスを理由に、病院薬剤師を避ける薬剤師も少なく無いようですね。

職場によっては、「子どもがまだ小さいから」「配偶者が単身赴任で、子どもを見る人がいない」など、事情があって、夜勤を免除してもらっている人もいます。

最近では、夜勤専門での雇用もあるので、意外と夜勤の回数は少なくて済むこともあるようです。

まとめ

病院薬剤師として働くメリット・デメリットはありますが、他職種との関わりができて、薬剤師としてのやりがいを感じることが出来るのが病院薬剤師として働く魅力。

患者さんの発病から治療までの過程を見ることができるので、臨床の現場で経験を積みたい方にはおすすめしたい職業と言えますよ。