薬学部の偏差値は、大学によって大きな差があります。ふと、「学歴や偏差値によって就職活動で不利になるのではないか」と不安に思ったことはありませんか?
でも、最終的に国家試験さえ合格できればいいような気もしますよね。
そこで、今回は「薬学部の学歴・偏差値は就職活動に影響あるの?」という疑問にお答えします。
就職活動を控えている薬学部の学生さんはもちろん、どこの薬学部にしようか迷っている受験生の皆さんも参考にしてみてくださいね。
そもそも「学歴フィルター」とは?
「学歴フィルター」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?薬学部の学生であっても、耳にした事がある人もいるはず。
学歴フィルターとは、就職活動をしている学生を、選考の際に大学のレベルによってふるい分ける行為のことを言います。
もちろん、公にされているものではありませんが、多くの学生が「見えないフィルター」の存在を感じていると言われています。
たとえば、大学名だけで選考で足切りをされたとか説明会の予約すら取れなかったとか、そんな噂を聞いて不安に思ったことがあるかもしれません。
たしかに、残念ながら選考の際に学歴で判断をしている企業も世の中には存在しています。採用の効率化やコスト削減のために、非公式に一定の基準が設けられていることもあるのでしょう。
実際に、一般企業に就職を考えている他学部の友人が「学歴フィルターのせいで就職活動が上手くいかない」なんて嘆いている様子を見たことがあるかもしれませんね。
薬学部も学歴・偏差値が就職活動に影響はある?
それでは、薬学部生の就職活動においても学歴フィルターは見られるのでしょうか。
薬学部生の就職活動における影響
まず結論から言うと、薬学部の学歴・偏差値は就職活動にほとんど影響がありません。
薬学部生の主な就職先の一つで近年人気があるのは、調剤薬局やドラッグストアですよね。
新卒で調剤薬局やドラッグストアに応募するための条件は、「薬剤師国家資格を取得見込みである」こと。
これが最も重要な条件です。つまり、言い方は悪いかもしれませんが、薬剤師の資格さえ持っていればいいのです。
そのため、偏差値の低い薬学部出身だからといって、就職活動で不利になるなんてことはありません。
考えてみれば、どこの薬学部に入学したとしても、最後に受験する国家試験は同じものですよね。国家試験に合格することで、一定の基準は満たしているものとみなされます。
また、薬剤師の募集枠は多いため、基本的に落とされるような選考ではありません。
薬学部生の就職活動は、ちょっと特殊であることを頭に入れておきましょう。学歴や偏差値で判断されることは、まずありません。薬剤師国家試験合格後から就活する薬学生も多いのです。
とは言え、あまりにも履歴書の内容や面接の態度がひどければ、落とされることもあります。勉強や実習で忙しいかもしれませんが、きちんと準備してから挑んでくださいね。
その後の転職活動における影響
ちなみに、新卒で就職した会社を、何らかの理由で辞める可能性もありますよね。次の職場を見つけるために、今度は転職活動を行うことになります。
転職活動の際にも、もちろん履歴書に大学名は記載します。でも、この時も採用の合否に影響することはほとんどありません。
むしろ、転職活動では学歴よりも「これまで薬剤師としてどんな経験を積んできたのか」の方が重要になっていきます。学歴の持つ意味は、どんどん薄れていくのです。
また、学歴によって職場で不当な扱いを受けるということもありません。
そもそも、職場の薬剤師がどこの大学出身かなんて気にしませんし、お互いに知らないことも多いのではないでしょうか。
何かのきっかけで出身大学の話になった時に、同じ大学の人がいるとちょっと親近感がわく、くらいの意味しかありませんよ。
学歴・偏差値が影響する可能性のある薬剤師の職種は?
さて、「薬学部の学歴・偏差値は就職活動にほとんど影響がない」と言いましたが、この「ほとんど」が意味するところを考えてみましょう。
例外的に、学歴や偏差値が影響する可能性のある職種もあるということです。それでは、具体的な例を見ていきましょう。
病院薬剤師
病院薬剤師を目指している場合、学歴がやや関係してくる可能性があります。と言うのも、病院薬剤師の求人数は調剤薬局やドラッグストアほど多くはないからです。
募集の枠が少ないので、多少は判断材料として考慮されるかもしれません。
なぜなら「薬剤師となる事」を前提で少ない内定者を出すため、国家試験合格率の低い薬学部の場合であれば比較されると厳しい面は否定できないからです。
研究職
研究職を目指している場合も、少し事情が異なる恐れがあります。研究職の場合は、薬学部以外にも理学部や工学部、農学部などの出身者とも争わなくてはいけません。
ある程度の大学レベル、いや、かなり高いものを求められる可能性が大いに考えられます。薬剤師の免許というよりは、大学時代に何を研究成果として上げられたかが重要です。
逆に言うと、「偏差値だけ」では仕事に就くことは難しいとも言えます。
医薬情報担当者(MR)
同様に、医薬情報担当者(MR)を目指している場合も学歴が関係する可能性があります。MRは、他の理系学部どころか文系の学部出身者も目指せる職業です。
そのぶん倍率が高いので、学歴が関係する可能性は否定できません。
大手医薬品卸なども薬剤師採用枠が少ないため、同様の考え方が出来ると言えますね。
偏差値が低い薬学部は就活を考えると避けた方がいい理由
ここまで、「薬学部生の就職活動に学歴や偏差値はほぼ影響がない」という話をしてきました。それでも、偏差値が低すぎる薬学部は避けた方がいいです。
ここからは、その理由についてお話しします。
留年・国試浪人のリスクが上がる
薬学部は進級や卒業の条件が厳しく、他学部に比べると留年する人が多いと言われています。その中でも、偏差値の低い薬学部は、さらに留年する人や国試浪人の割合が多い傾向にあります。
若いうちは、周りに流されやすいもの。とりまく環境は非常に大切です。
友人が次々と留年していったら、どうでしょうか。留年が特別珍しいことではないと感じてしまうかもしれません。
自然と留年することへのハードルが下がり、勉強への意欲がなくなってしまう恐れがあります。結果、自身も留年したり国試浪人になったりするリスクが上がってしまうことも考えられます。
薬学部は6年という長い年月を過ごすので、そういった環境は避けた方がいいです。
コンプレックスになりやすい
最終学歴である大学は、就職活動以外でも話題にのぼる機会があるものです。偏差値が低すぎる大学を卒業すると、そのたびにコンプレックスに感じてしまう可能性があります。
どこの世界にも、学歴で相手を判断するような人は一定数いるのです。
ただ、一般的に薬学部の偏差値は他学部の出身者にはよくわからないことが多いです。有名大学でない限り、どこの大学出身でもあまり反応は変わらないかもしれません。
まとめ
薬学部の学歴・偏差値が就職活動に影響するかどうかについてお伝えしました。調剤薬局やドラッグストアへの就職を考えているのなら、影響はありません。
ただ、これから薬学部を受験するのであれば、できるだけ偏差値の高い薬学部を目指した方が自分のためになりますよ。