突然ですが、皆さんは英語が得意ですか?薬学部の受験科目に英語は含まれていますが、大学に入ってからは、低学年時にしか英語を学びませんよね。
また、仕事で日常的に英語を使うという薬剤師も、あまり多くはないでしょう。英語に苦手意識をもつ薬剤師は、少なくないのではないでしょうか。
しかし、日本在住の外国人や外国人観光客が増加することで、医療機関を受診する外国人の割合も増えていくことが見込まれます。
薬剤師であっても、英語でのコミュニケーションが求められるシーンが今後増えていくかもしれません。
そこで、薬剤師が英語の資格をとるメリットについて考えていきましょう。
薬剤師におすすめの英語の資格とは?
まず、英語の資格にはどんなものがあるでしょうか。薬剤師が仕事に役立てやすい資格を中心に、調べてみました。
1.国際コミュニケーション英語能力テスト(TOEIC)
やはり、ビジネスで役立つ英語の資格といえば国際コミュニケーション英語能力テスト(TOEIC)です。薬剤師に限らず、迷ったらTOEICを受験しておけば間違いありません。
TOEICは、英語でのコミュニケーションスキルやビジネス能力をチェックする試験です。満点は990点。試験内容は、リーディングとリスニングから構成されています。
日本では年に10回、全国の主要都市で試験が開催されています。既に受けたことがある人も多いかもしれませんね。
ただ「英語が話せます」という人よりも、「TOEIC何点です」という人の方が、説得力がありますよね。知名度は抜群で、英語力を客観的に証明できる資格であると言えるでしょう。
2.日本医学英語検定試験
日本医学英語検定試験とは、日本医学英語教育学会が認定する、医学・医療に特化した英語検定試験です。試験は年に1回実施され、1級から4級まで4つのレベルが用意されています。
TOEICとは異なり、合格不合格で判断される試験です。また、上級になると、面接やプレゼンテーション試験など、筆記以外の高度な試験が待っています。
TOEICに比べると受験者数は少なく、まだまだ知名度も低めです。
3.国際医療英語認定試験(CBMS)
国際医療英語認定試験(CBMS)とは、一般財団法人であるグローバルヘルスケア財団が認定する試験です。
医療機関で働くスタッフの、英語によるコミュニケーション能力向上のために設立されました。薬剤師も例外ではありませんね。
試験の実施は年に1回。400点満点のベーシックと、800点満点のアドバンスの、レベル別に2つの試験から選ぶことができます。ベーシックは、主に医療系の学生向けに実施されています。
CBMSはTOEIC同様、点数で認定される試験です。リーディングとリスニングのみで構成される試験のスタイルも、TOEICと同じです。
薬剤師が英語の資格をとるメリットとは?
英語の資格をもっている人も薬剤師資格をもっている人も、全国にはたくさんいます。しかし、「英語の資格をもっている薬剤師」となると、グッと数が減るでしょう。
英語ができる薬剤師は希少性が高く、常に需要は高いと考えられます。それでは、薬剤師が英語の資格をとることで、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。
患者対応で活かせる
一番のメリットは、患者対応で活かせることではないでしょうか。日本語を話せない患者さんの対応に、あたふたした経験はありませんか?
薬局の会話では、「毎食後に飲んでください」とか「空腹時は避けてください」とか、結構特殊な文章が多いですよね。これを咄嗟に英訳するのは難しいです。
また、一般用医薬品の取り扱いもある薬局やドラッグストアであれば、一般用医薬品を求めて外国人観光客が来店する機会もあります。英語ができなければ、症状や何を求めているのかすら聞き出すことが困難です。
そんな時に、英語力を活かすことができるのは大きな強みです。「この薬局には英語を話せる薬剤師がいる」と外国人の間で口コミが広がれば、患者さんも増えそうですね。
英語論文を読み解ける
最新の医薬品や治療情報は、英語の論文が先に公開されることが多いです。英語が堪能であれば、いち早く論文を読み解くことができます。これは、英語ができる薬剤師の特権ですね。
また、ちょっと気になる医薬品の使い方や治療法を見かけた時に、自身で英語論文に直接アクセスできるのもアドバンテージとなります。
活躍の場が広がる
薬剤師が英語の資格をとれば、活躍の場が広がる可能性があります。
特に、治験コーディネーター(CRC)や臨床開発モニター(CRA)など、治験関連の求人では具体的に「TOEIC何点以上」という条件が提示されていることもあります。
治験に携わっていると、外資系企業ではもちろん、日系企業であっても英語力が求められるシーンは多くあります。
TOEICを受験していなければ、そもそも応募すらできないこともあるのです。高度なスキルが求められるぶん、給料も高く設定されています。英語の資格によって、収入アップも見込めますね。
そのほか、英語力が必要なメディカルライターや医療系翻訳などにも挑戦しやすく、活躍の場が広がります。
また、病院や薬局であっても、外国人の患者さんが多いところでは英語力がある人を歓迎しています。
薬剤師がどうやって英語を勉強するか?
毎日の業務で忙しい薬剤師。どうやって英語を勉強するのがいいのでしょうか。
自己学習やスクールに通う
最も一般的な勉強法としては、自宅で英語の教材を解いたり、英会話スクールに通ったりすることでしょう。
最近では、YouTubeの無料動画のように、気軽に英会話を学べる機会も増えています。忙しい毎日の隙間時間にも取り入れやすいですね。
また、会社によっては英会話スクール代が福利厚生に含まれていることもあるので、ぜひチェックしてみてください。会社から補助金が出て、お得に通えるかもしれませんよ。
留学する
一番手っ取り早いのが、留学をすることです。とは言え、社会人になってからの留学はハードルが高いと感じるかもしれません。
たしかに、一度は仕事を辞める必要がありますが、薬剤師であれば帰国後にまた仕事を見つけることも難しくありません。
中には、派遣薬剤師として一定期間働いて貯金をし、貯まったお金で留学をするという人もいます。派遣は有期雇用なので、計画も立てやすいですね。
資格があるからこそ、ちょっと大胆な行動もできますよ。
英語を使う職場に転職する
また、英語は実際に使うのが一番の勉強になります。思いきって、英語が必要な職場に転職するのも手ですね。仕事で毎日英語を使うことで、自然と英語力が身につきます。
医療機関の場合、観光地や大使館などの近くは外国人の患者さんが多いので狙い目です。ただし、医療機関では英語を話せるからといって大幅な収入アップを見込める望みは薄いので、注意しましょう。
まとめ
薬剤師が英語の資格をとるメリットについて説明しました。英語ができる薬剤師は少ないので、メリットは大きいです。
これからは、薬剤師も積極的に英語を学んでいきたいですね。