薬剤師の就職先として、最も一般的なのが調剤薬局ですよね。しかし、調剤薬局での業務は単調だと感じることもあるはずです。
繰り返しの毎日に飽きてしまい「別の仕事に挑戦してみたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。
そこで、薬剤師資格を活かせる転職先についてご紹介していきます。案外、薬剤師が活躍できるフィールドは広いもの。
まだ20~30代など若い薬剤師なら、興味ある分野にぜひ積極的にチャレンジしてみてください。
医療に関わる現場で薬剤師として働く
まず、調剤薬局と同じく医療に関わる現場で働くケースです。ギャップが少なく、転職後も比較的スムーズに馴染める環境であると言えますよね。
新卒時の就活で考えていた職種もあるかもしれませんし、興味のある分野なら転職を検討してみたいもの。代表的な3つを挙げてみます。
①病院・診療所
病院や診療所では、調剤や服薬指導、薬歴管理などが主な業務になります。そのほか、病院では混注業務や注射薬の払い出しを行う場合も。
調剤薬局とは異なり、医師や看護師など、他の医療従事者と関わることができるのが特徴です。また、治験や救急救命などの業務があり、多岐にわたる知識を身につけることができます。
勤務に関しては、始業・終業ともに早い時間帯であることが多いため、17時台に退勤できるような職場もあります。ただし、病院によっては当直勤務が発生する可能性も。不安な人は、転職前に当直の頻度などを必ず確認しておきましょう。
高度な医療の現場に触れ、チーム医療の一員として活躍したい人にはおすすめです。
以下は学生向けの記事ですが、病院と言っても多くのフィールドがあります。ぜひ参考にしてみてください。
②ドラッグストア
ドラッグストアでの主な業務は、OTC販売と健康相談などのカウンセリングです。これに加えて、調剤併設店舗では調剤薬局と同様の業務も発生します。
また、お店によってはOTC以外にシャンプーなどの日用品についての相談を受けることも。医薬品に限らず、幅広い知識を身につけることができます。
ドラッグストアは夜遅くまで営業している店舗も多く、勤務時間が夜型になる事も。調剤メインであるのか、OTCや物販メインなのかは転職の際によく確認しておきたい所ですね。
もちろんその分、給与水準は高めに設定されています。特に、深夜の時間帯に勤務可能であれば、効率よく稼ぐことが可能になってきます。
調剤はもちろん、OTCの知識や接客の技術を磨きたい人には、おすすめの職場と言えますね。
ドラッグストアは、アルバイトの学生がいる事も多いため、活気のある職場である事が特長です。大変な一面もあるけれど、楽しく仕事が出来る環境が整っていると言えるかもしれませんね。
③介護老人保健施設
介護老人保健施設とは、入所者がリハビリなどを通じて自宅に戻れるようにするための「医療機関」です。
業務内容は、調剤や医薬品の管理など。仕事は調剤薬局と似ていますが、患者さんに該当するのは施設の入所者です。ほとんどが顔馴染みであり、患者さんひとりひとりと深く関わることができますよね。
また、医師、看護師や理学療法士など、他の医療従事者と接する機会があるのが特徴です。
自宅復帰を目的とした施設なので重症患者は少ないですが、老人介護の現場経験を積めるのは強みであると言えるでしょう。
職場としては、残業はほとんど発生せず落ち着いた環境であることが多いです。しかし、求人の数が少ないので、転職を希望する場合は長い目で探してみる事がポイントかもしれませんね。
医薬品関連企業の薬剤師として働く
薬剤師資格を活かしながら、調剤薬局とは全く異なる業務に従事できるのが医薬品関連企業です。
調剤薬局では困難な、土日休みや定時退社が叶いやすいのが特徴。また、デスクワークが基本なので、体への負担が少ないのも嬉しいですね。
①企業内管理薬剤師
企業内管理薬剤師の主な職場は、製薬会社や医薬品卸企業など、医薬品を取り扱う企業です。これらの企業では、各営業所に1人は管理薬剤師を置く必要があり薬剤師需要は割と高くなっています。
主な業務は、医薬品の管理や他職種への教育など。そのほか、伝票整理などの事務作業がメインである場合もあるので、事前に確認しましょう。
また、製薬会社の場合は本社以外に、倉庫や工場に勤務する薬剤師を募集していることも。倉庫では在庫管理、工場では分析や品質管理などの業務が発生します。
企業内管理薬剤師は募集が少ないうえに人気の求人です。特に4大医薬品卸(アルフレッサ・メディセオ・スズケン・東邦)などは、基本的に新卒入社のみの採用です。
しかし中小規模の卸や、化粧品メーカーは言うまでもなく、大手企業であっても「倉庫に薬剤師が必要」というケースは意外と多く、薬剤師の需要は高いのです。
もちろんそうした求人を自分で探すのは大変です。マイナビ薬剤師などの転職エージェントをうまく活用しましょう。
②DI(ドラッグインフォメーション)
学術担当として、医師や薬剤師からの問い合わせに対応するのがDIの業務です。適切な回答を抽出のうえ提供し、その記録を残していきます。
電話での対応が主なので、声でのコミュニケーション能力が求められます。接客対応や医薬品に関する深い知識を身につけたい人におすすめです。
調剤薬局で薬剤師として勤務しているときに、DIに問い合わせた経験のある人は多いのではないでしょうか。比較的、イメージの湧きやすい職場かもしれませんね。
薬局や病院でDI業務を行っていたなら目指してみたいもの。ただこちらも求人は決して多くないので、もし募集が出ていたらラッキーですね。
③メディカルライター
メディカルライターとは、医療に関する記事を執筆する専門家のことです。一口にメディカルライターと言っても、勤務先によって業務内容はさまざま。
製薬企業やCRO(医薬品開発業務受託機関)に勤務する場合は、薬事申請書類の作成が主な業務です。論文を読み解く力や各種ガイドライン、法規に関する知識など、高い専門性が求められます。
医薬系広告代理店では、医薬品の販売促進用資材や服薬指導用ツール、MR向け研修資料などの作成が主な業務です。プロモーション活動という角度から、医薬品に関わることができます。
ライターと言えば黙々と仕事をするイメージですが、実はクライアントとのコミュニケーションも重要な仕事のひとつです。営業力も必要となってくるでしょう。
治験に関する業界で働く
新薬を世に送り出すための治験業界は、医療の最前線を見られるのが大きな魅力です。
もちろん、薬剤師が活躍できるチャンスも多数。未経験からの転職でも、薬剤師資格が有利に働くことが多いですよ。
①CRC(治験コーディネーター)
CRCの主な業務は、治験を実施する医療機関や製薬企業の担当者と連携し、被験者へのサポートを行うことです。
具体的には、治験薬の管理や被験者への服薬指導、スケジュール説明などを行います。被験者が不安なく治験に参加できるよう、相談を受けることも大事な仕事ですよね。
そのほか、症例報告書の作成補助など、医師のサポートも行います。CRCとして、治験を円滑に進められるよう、各方面への調整力が重要になってくるのです。
②CRA(臨床開発モニター)
CRAの主な業務は、治験実施計画書通りに治験が行われているかを確認することです。CRAは治験の開始前から終了後まで、全ての段階に関与します。
具体的には、治験実施医療機関や医師の選定、治験中のモニタリング業務、終了報告や治験薬の回収などを行います。
治療に関する深い知識やスケジュール管理能力などが求められます。
③データマネジメント
データマネジメントの主な業務は、治験などで集められたデータの管理および調査です。具体的には、CRAが集めた症例のデータを解析し、問題があれば再調査の依頼を行います。
データの入力やチェックなど、細かい作業が求められる職種です。患者さんと直接触れ合う機会はなくとも、データを通して医療に貢献できる仕事であると言えるでしょう。
まとめ
調剤薬局以外の、薬剤師の主な転職先についてご紹介しました。これまでの経験を活かしながら、別の世界で活躍する薬剤師は少なくありません。
まだ若手薬剤師なら挑戦してみる事も大切ですよね。
まずは「マイナビ薬剤師」や「薬キャリエージェント」などから求人の相談をしてみる所からスタートしてみてください。