将来、薬剤師の仕事が無くなるってホント!?

本サイトのコンテンツには、アフィリエイト広告を掲載しております

最近、「薬剤師の仕事は将来なくなるのではないか」という話を耳にする機会が増えています。現役の薬剤師や薬剤師を目指している人の中には、将来を不安に思っている人も多いのではないでしょうか。

実際に薬剤師として働いていると、職場で業務の機械化が進んでいる様子を目の当たりにし、危機感を抱くこともありますよね。

果たして、本当に薬剤師の仕事は将来なくなってしまうのでしょうか?そして、薬剤師の座を脅かすのは機械だけなのでしょうか?順を追って、検証していきましょう!

機械に奪われる薬剤師の仕事とは?

まず、気になるのが「機械に仕事を乗っ取られるのではないか」ということです。薬剤師の業務のうち、機械化が進んでいるのはどのような分野でしょうか。

調剤業務

薬剤師の仕事の中で、特に機械化が進んでいるのは調剤業務です。いわゆる「調剤ロボット」は目覚ましい勢いで進化しており、導入する現場も増え続けています。

たとえば、これまで薬剤師がメートルグラスを片手に計っていたシロップも、調剤ロボットがあればボタンひとつで完成します。その間に、薬剤師は別の業務を行えるようになるのです。

このように、機械による調剤は業務の効率化には非常に有益です。これは薬剤師だけでなく、待ち時間の短縮にもつながるので患者さんにとっても嬉しいことですよね。

また、機械なのでヒューマンエラーが減るというのも大きなメリットです。ただし、調剤ロボットを操作するのは人間です。薬の充填や指示の入力など、人の手を介する部分ではより一層の注意が必要になります。

監査業務

最近では、監査業務も機械化が進められています。取り揃えた薬をセットするだけで、画像認識によって薬の種類を、重さによって数量を判別するような機械が登場しています。

機械が監査を行うことで、人間の思い込みによる監査ミスを防ぐことができます。ただし、こちらも操作や最終的な確認は薬剤師が行う必要があります。まだまだ全自動というわけにはいきません。

医薬品の在庫管理業務

そして、医薬品の在庫管理も薬剤師業務のひとつです。すでに在庫管理は医療事務さんに任せているところもあるかもしれませんが、やはり薬の知識があった方が管理はしやすいです。
そんな中、これまでの傾向に基づいたAIによる適正在庫の管理や自動発注システムなどが登場しており、これからの発展が期待されています。

薬剤師以外の人間に仕事を奪われる?

薬剤師の仕事を奪うのは、機械だけではありません。最近では、薬剤師以外の人間による業務の分担も進められています。

その代表的な存在が「登録販売者」と「調剤助手」です。しかし、いずれも薬剤師の仕事そのものを奪うということはなく、むしろ、薬剤師の負担を軽減させてくれていることを忘れてはいけません。

登録販売者

2006年の薬事法改正をきっかけに誕生したのが、登録販売者制度です。これまで一般用医薬品の販売業を行っていた薬種商販売業制度が廃止され、新たに設立されました。

実際に、登録販売者の認定が開始されたのは2009年です。ちなみに、登録販売者は国家資格でありながら、資格を認定するのは都道府県知事であるというややこしい一面も。

登録販売者であれば、第2類および第3類医薬品を販売することができます。薬剤師不在時のドラッグストアなどにおいて、特に重宝されている資格です。

しかし、第1類医薬品を販売できるのは薬剤師に限定されています。第1類医薬品は特に安全面での注意が必要な医薬品なので、取り扱いにはより高い専門性が求められるということですね。

調剤助手

「ファーマシー・テクニシャン制度」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これはアメリカなどで導入されている制度であり、ファーマシー・テクニシャンとは薬剤師の補助業務を担う医療従事者のことを指しています。

ファーマシー・テクニシャンは調剤をはじめとするさまざまな業務を行う権限を持っています。それにより、薬剤師は専門知識が必要な業務に集中することができるのです。

一方、日本では薬剤師資格を持たない者による調剤業務は以前より禁止とされていました。いわゆる「無資格調剤」と呼ばれる行為は、違法だったのです。

しかし、2019年には薬剤師以外の人間による調剤業務が、一部条件付きで正式に認められるようになりました。厚生労働省の通達には

「最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づき、当該薬剤師の目が届く場所で」「医薬品(PTPシートまたはこれに準ずるものにより包装されたままの医薬品)の必要量を取り揃える行為」

など、細かな条件の記載はありますが、無資格調剤を一部認めた大きな一歩であると言えるでしょう。

通達を受けて、日本でも薬剤師の業務を補佐する調剤助手や調剤補助員の導入が今後加速していくと考えられます。

薬剤師同士による仕事の奪い合い?

ところで、「薬剤師は飽和状態になる」という話もよく耳にしますよね。たしかに、薬剤師国家試験は年に一度行われており、毎年数多くの薬剤師がこの世に送り出されています。

薬剤師同士による仕事の奪い合いによっても、薬剤師の仕事がなくなるのではないかと不安に思うかもしれません。しかし、それほど現実的な話ではありません。

まず、薬剤師は女性が多い職業です。結婚や出産により、一時的に仕事をセーブする人も少なくありません。

また、薬剤師の活躍の場は多岐にわたります。薬剤師の資格を取得したからといって、全員が資格の必要な職に就いているとは限らないのです。

そのため、人手不足になりやすい職業であることには変わりありません。ただし、どんな職業であれ資格を取ったから一生安泰ということはなく、知識や技術は常に磨いていく必要があります。

まとめ

薬剤師の仕事は「将来なくなることはないけれど、一部の業務は機械や薬剤師以外の人間に代替され、縮小傾向にある」と言えるでしょう。

しかし、それは薬剤師にとって、必ずしも悪いことではありません。薬剤師でなくとも行える「対物業務」の負担が減り、より高度な技術や知識が求められる「対人業務」に専念できる環境が整えられてきているということです。同時に、これからの薬剤師には対人能力が求められているということも言えますね。

対人業務の代表が、患者さんとのコミュニケーションです。雑務が減った分より多く患者さんと向き合い、これからの時代に合った薬剤師像を目指していきましょう。