薬剤師といえば勝ち組の職業、そういうイメージがある方も多いかもしれませんよね。
自分の子供になってほしい職場ランキングでは常に上位であるため、親からは信頼感のある職業と思われているのでしょう。
でも本当にそうなのでしょうか?
薬剤師の立場から本当に薬剤師は勝ち組と言えるのか解説していきたいと思います。
薬剤師が勝ち組の時代は終わった!
一昔前までは薬剤師といえば勝ち組でした。4年で大学を卒業できて、子育て中でも短時間で大きな金額を稼ぐことができたため勝ち組といえるでしょう。
確かに子供の保育園代くらいはお母さんがパートで楽に稼げるイメージがありますよね。しかし、そんな時代は終わりつつあります。
薬剤師が決して勝ち組とは言えなくなった、そう感じる理由についてご紹介します。
増えている薬剤師
これまで、薬剤師の人数は少なく世の中の需要に対して供給が足りていない状態でした。そのため、薬剤師免許さえ持っていれば就職に困ることはなく、面接といっても世間話程度(で内定)のことが多かったのです。
しかし、ここ最近では薬科大学が増えてきています。国家試験の合格率は下がっているものの、受験者数が増えているため、合格者数は増加している状況です。
これまでは薬剤師不足が問題となっていましたが、都心部では解消しつつあります。まだまだ地方では薬剤師不足の問題は残っていますが、解消されるのは時間の問題かもしれません。人間関係の疲れからか田舎暮らしの人気もあり、地方移住もブームですからね。
労働条件が悪い都心部の薬剤師が地方へ流れ込むことで、地方の労働条件(年収)も悪くなっていけば、働いている場所が地方だからといって安心できない状況といえますよね。
特に地方ほど薬剤師は勝ち組と感じられるのは間違いないのが現状です。でも2030年、2040年、状況がどう変わっていくかは少し予想しづらい部分ですね。
調剤報酬の変化
最近では調剤報酬(※薬剤師の収入源の元となる、国で定められた診療報酬)の変化が大きいです。
厚生労働省は、対物業務から対人業務へのシフトする流れを作っており、間違えのないようにピッキングするだけでは儲からなくなっています。これからは患者さんの満足度を上がることが必要です。
薬学に関する専門的な知識を活かして、患者さんのQOLを上げていくためにも薬の知識があるだけではいけません。その薬の知識をどのように活かして患者さんを支えていくのかが重要です。
どんなにたくさん調剤したとしても患者さんに飲んでもらわなければ意味がありませんよね。患者さんに薬を飲んでもらい、飲んだ後のアフターケアもしていかなければなりません。
ここまでしっかりと仕事ができれば、これまで通りの調剤報酬を得ることができますが、業務内容が大きく変わるため働く立場からみれば負担となりますよね。
薬剤師が勝ち組かどうか、年収で左右される面があります。年収面で厳しくなってしまえば、少し厳しいと言わざるを得ないでしょう。
薬剤師需給:少子高齢化の影響
少子高齢化は日本の最大の問題です。この問題は、さまざまな業種に影響を与えることになりますが、その中でも医療には直接的な影響を与えます。
「少子高齢化になるならば、患者さんとなる高齢者が増えるから良いことでしょ?」と考える方もいるかもしれませんよね。
しかし、日本の医療は国民皆保険制度が適用されています。
医療費が増大すれば、今のまま国民皆保険制度を維持することは困難であるため保険料を上げるか、医療費を下げるしかありません。
そのため、医療費の適正化が進められており、毎年のように薬価は下げられているのです。
そんな状況の中、薬剤師に求められる仕事は増え続けています、代表的な仕事は、ジェネリック医薬品の普及と残薬を減らすことです。薬剤費を抑えるためにジェネリック医薬品は欠かせません。
多くの患者さんにジェネリック医薬品を利用してもらえるようにジェネリック医薬品の安全性や効果について説明して変更を促すことが求められています。
最近では、ジェネリック医薬品への変更率も高まってきたため、ジェネリック率でのインセンティブはなくなっていくことでしょう。
また、残薬も大きな問題です。薬局業務をしていると本当に必要か疑わしい大量のビタミン剤や湿布、保湿剤を毎回のように持って行く患者さんを多く見掛けるのです。
投薬の時に薬は余っていないか訪ねると、「余っているけれど面倒だからもらっておく」「期限が過ぎたら捨てる」という患者さんもいます。
こういった本当に必要ではない医薬品に医療費が使われてしまっているため、薬剤師が毎回チェックして不要であれば疑義照会をして処方削除してもらい医療費を削減していくことが求められています。医療は本当に必要な人のために使いたいですよね。
これから必要なのは薬剤師+α
薬剤師の現状をみていくと、将来はあまり明るくないように思えます。「薬剤師は勝ち組」そう感じさせてくれる事が少ないように思えます。
でもせっかく6年間も大学に通ったのに、残念な気持ちにはなりたくないですよね。これからの時代は薬剤師免許を持っているだけでは通用しません。薬剤師+αが必要なのです。
そうは言うものの、薬剤師が勝ち組といえるために、どんなことをしていけば良いんでしょうか。
薬剤師でも副業という選択
日本では働き方改革の一環として副業が推奨されています。年配の薬剤師の方は、「勝ち組の薬剤師には必要ない」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、これからの時代は薬剤師でも副業が必要となります。薬剤師は、大きなポテンシャルを持っているのに、それを活かせていません。
勝ち組=副業なんか必要ない、そう思う人がほとんどなはず。でも!副業で稼ぎやすいと言うことは、立派なスキルなんです。
国家試験に合格するには、薬学に関する知識はもちろんのこと病態や有機化学、栄養学などさまざまな知識が必要です。そんな国家試験を突破したのですから、やり抜く力と豊富な知識があります。
その力を使って副業をすることでお金に関する不安を少しでも減らすことができます。現在ではインターネット環境が整っているため、すぐにでも副業を始められます。
副業と言われると難しく考えてしまう人も多いですが、自分に出来そうなものからやってみて副業を経験することが大切です。
例えば、ブロガーやYouTuberは結果を出すためにはコツコツと努力するが必要なので、薬剤師に向いています。
「副業で有名になってしまったら本業に支障が出る」と不安な方も多いでしょう。
しかし、ブログにしてもYouTuberにしても顔を隠して匿名で活動することは可能です。この方法で最も成功している医療従事者がいます。
それは、音楽アーティストのGReeeeNです。彼らは歯科医師として働きながら、音楽活動をしています。
GReeeeNの音楽を聴いたことがある人は多いですが、顔を見たことがある方はいないでしょう。患者さんとして医療サービスを受けたことがある方はいても、その歯科医師がGReeeeNのメンバーと気付いている人はいないはず。
薬剤師では、音楽グループのケツメイシやACIDMAN、パチスロライターの松本バッチなど薬剤師免許を保有しながら他の分野で活躍している人もいます。
薬剤師になったからといっても一生薬剤師の仕事だけをするのはもったいないです。副業としていろいろな仕事をして、楽しみながらお金も稼げる仕事を見つけていく事が大事なんです。
本業である薬剤師の仕事に安定性があるからこそ、資格を生かした稼ぎ方に多様性が生まれるという事なんです。
薬剤師は有利なポジション
副業を始めるにあたって薬剤師はとても有利です。なぜなら、他の職種と比較して時間とお金があるからです。
薬剤師は勝ち組とはいえない時代が迫っているかもしれません。しかし、まだまだ他の職種と比較すると余裕がある人が多いのです。
このまま何もしなければ、勝ち組から負け組へと転落してしまいます。まだ世間から勝ち組と言われているうちに、準備をしておきたいところです。
副業を始めるといっても始めるためのツールや知識が必要となります。パソコンやスマートフォンなどのツールを揃えるにしてもお金はかかるため、少ない給料から負担するのはためらってしまいますよね。
また、自分がやったことのない仕事をするわけですから、当然勉強が必要となります。その時間を捻出しなければなりません。
本業では薬剤師同士での椅子の奪い合いとなりますが、副業では職種は関係ありません。そんな中で時間もお金も余裕のある薬剤師は、副業を始めるにあたって有利なポジションにいるといえます。
このまま薬剤師の労働条件が悪くなっていけば、その有利なポジションはなくなります。
薬剤師は勉強が大事ですが、知識の偏りをなくし、様々なことに興味を持って取り組んでいく事が大事。これは薬剤師に限らず、会社員として働く人みんなですよね。
まとめ
近い将来、薬剤師免許を持っているだけでは勝ち組とはいえません。人生100年時代を生きていく上で薬剤師免許という武器だけでは少し頼りないかもしれません。
しかし、薬剤師になるまでに培った力はこれからの時代で大きな武器になります。薬剤師免許の上であぐらを掻いていないで、貪欲にこれからの時代を生きていけばきっと勝ち組でいられ続けるはずです。