アロマテラピーに興味のある薬剤師は多いのではないでしょうか?
実際に、アロマテラピー関連の資格を取得している薬剤師は大勢います。アロマテラピーといえば趣味で楽しむものと思われるかもしれませんが、資格によっては医療の現場で活かせることも。
ちなみに言葉の使い分けですが、
アロマテラピー : フランス語
アロマセラピー : 英語
です。どちらも正しい表現ですが、本記事では「アロマテラピー」と「アロマセラピスト」という2つの表記に統一します。
メディカルアロマテラピーとは?
植物から抽出した精油の香りを楽しむ「アロマテラピー」は、主にリラクゼーションやストレスの解消を目的とした、フランス発祥の自然療法です。
そんなアロマテラピーを、医療や福祉の現場で役立てようというのが「メディカルアロマテラピー」です。
メディカルアロマテラピーは、心身の不調や機能改善を目的とした代替医療のこと。
一般的なアロマテラピーがリラクゼーションを目的としているのに対し、メディカルアロマテラピーは治療を補完することを目的にしています。
とはいえ、日本では治療としてアロマテラピーを行うことは違法となるので注意が必要です。
また、メディカルアロマテラピーにまつわる協会は数多くあり、協会ごとに定義が異なる部分もあります。まだまだ曖昧な言葉であると言えるでしょう。
メディカルアロマテラピー資格の種類や取得方法は?
病院や福祉関連の施設において、メディカルアロテラピーの処置を行うのがメディカルアロマセラピストです。
先にも触れた通り、メディカルアロマセラピストの資格はさまざまな協会が認定しています。ここでは、代表的な3つの資格についてご紹介しましょう。
1.メディカルアロマセラピスト
特定非営利活動法人日本統合医学協会が認定する資格です。統合医療とは、西洋医療をベースに、メディカルアロマテラピーをはじめとする代替医療を組み合わせること。
協会認定校を修了することで、メディカルアロマセラピストの受験資格を得られます。なお、薬剤師や医師、看護師などの医療系国家資格保有者は、一部の試験が免除になります。
認定校では、実技や講義を通じてメディカルアロマテラピーの基礎から実践までを習得できます。期間は6ヶ月程度、費用は30万円前後が目安です。
試験に合格後は、医療機関やリラクゼーションサロンなどで資格を活かして働くことができます。
2.日本メディカルアロマテラピー協会認定アドバイザー
特定非営利活動法人日本メディカルアロマテラピー協会(JMAA)が認定する資格です。
取得するためには、初級基礎講座、初級応用講座を修了し、アドバイザー資格試験に合格する必要があります。
そして認定アドバイザーになると、JMAA会員としてカルチャースクールやボランティアを主催することができるようになります。
さらに、認定アドバイザーの上位には認定スペシャリストという資格もあります。
認定アドバイザー資格を取得のうえ中級講座を修了し、スペシャリスト資格試験に合格することで取得できます。
認定スペシャリストになると、認定講師・認定カウンセラーとして活動できるようになります。さらなるスキルアップが目指せますね。
3.ICAA認定メディカルアロマセラピスト
一般社団法人インターメディアリー・クリニカリー・アロマテラピー協会(ICAA)が認定する資格です。
ICAA指定のコースを受講後、認定試験に合格することで取得できます。認定校は全国各地にあり、費用はスクールによって異なります。
認定校では、アロマリンパトリートメント法の手技や精油の選び方などを習得します。
薬剤師がアロマテラピー資格を取得するメリットは?
薬学とアロマテラピーは、非常に親和性が高いジャンルです。実際に、メディカルアロマセラピストになるための試験では、薬剤師であれば一部の試験が免除されるなど有利になることも。
薬剤師であれば、アロマテラピー関連の資格は比較的スムーズに取得できるでしょう。
それでは、薬剤師がアロマテラピー資格を取得するメリットはあるのでしょうか。
1.西洋医学に精通しているので有利である
メディカルアロマテラピーは、西洋医学では足りない部分を補うもの。そのためには、ベースとなる西洋医学に精通している必要があります。
薬剤師は、もちろん西洋医学について熟知しています。治療法や効果だけでなく、弱点や限界もわかっているのは大きな強みです。
そのため、治療の補完としてメディカルアロマテラピーを用いる際に有利であると言えるでしょう。
2.服薬指導に活かせる
メディカルアロマテラピーの知識は、薬局や病院での服薬指導の際にも活かすことができます。
たとえば、不眠の患者さんにアロマをおすすめするなど、薬物治療とは別の角度からアプローチができますね。また、健康相談を受けた際にもアロマを絡めて回答しても良いかもしれません。
プラスアルファとしてメディカルアロマテラピーの知識をもっていると、ほかの薬剤師とはちょっと差別化を図れそうですね。
さらに、実際に薬局でアロマを焚いて、心地良い空間作りに活かすのも良いでしょう。
病院や薬局に来る患者さんは、何かしら心身の不調を抱えているもの。待合室を精油の香りで満たしておけば、緊張も解れますよね。リラックスした状態で、患者さんも話しやすくなるのではないでしょうか。
ただし、香りには好みもありますし、人によっては不快・刺激だと感じることも。様子を見ながら、控えめに取り入れるようにしましょう。
3.メンタルケアに強くなれる
もともとリラクゼーション目的で行われていたアロマテラピーがベースである、メディカルアロマテラピー。メンタルケアは、特に力を発揮できる領域です。
「ストレス社会」ともいわれる現代において、ストレスに伴う心身の不調に悩む人は少なくありません。メンタルに不調を感じている人は、じわじわ増えているのではないでしょうか。
そのため、メンタルケアに有効なメディカルアロマテラピーの需要は、今後増加していくことも考えられます。これからの時代に合ったスキルのひとつであると言えるでしょう。
まとめ
医療の現場においても徐々に導入が進められているメディカルアロマテラピー。しかし、日本では認知度が低く、メディカルアロマセラピストとしての活躍の場はまだまだ少ないというのが正直なところです。
とはいえ、薬剤師にはとっつきやすい分野なので、スキルアップのひとつとしてはおすすめです。これからの時代を見据えて、ワンランク上の薬剤師を目指してみてはいかがでしょうか。