「子供に将来なって欲しい職業ランキング」なるものを見たことがあるでしょうか。親たちの期待がギュッと詰まった、なんとも興味深いランキングです。
この手のランキングにおいて、必ず上位にランクインするのが『薬剤師』です。
特に、女の子版のランキングでは常連です。しかし、本当に薬剤師は子供におすすめできる職業なのでしょうか?
子供に将来薬剤師になって欲しいと考えている人や、これから薬剤師を目指そうと思っている人など、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ちなみに、薬剤師は「子供が将来なりたい職業ランキング」ではあまり見かけないのが切ないところ。
でも薬剤師の仕事、とても魅力があるんです。
薬剤師になって良かったこと
まずは、薬剤師になって良かったと思うことをいくつか挙げていきましょう。
1.就職・転職がしやすい
薬剤師は、就職・転職がしやすいです。選り好みさえしなければ、比較的すぐに職場が見つかります。
薬剤師の主な職場である病院や薬局は、全国にたくさんあるからです。そのうえ、国家資格が必要な職業なので、誰でも応募できるわけではありません。必然的に、就職や転職のハードルは下がります。
そのため、職場に何かしら不満があるときに、無理に我慢をする必要がありません。「次の職場が見つからなかったらどうしよう」と思い、なかなか転職に踏み出せないのはつらいものです。
また、実際に転職をしないにしても「いざとなったらいつでも転職できる」と思えるのは精神的な余裕につながります。それだけでも、もう少し頑張れたりするものです。
さらに、薬剤師として一度は現場を離れたとしても、資格があるので再就職も比較的スムーズに進みます。ブランクがあると多少不利にはなりますが、だからといって全く仕事が見つからないという心配はあまりありません。
よくある表現をすれば「食いっぱぐれることはない」というのが薬剤師の大きなメリットですね。
2.それなりに社会的信用を得やすい
薬剤師は医療系の国家資格なので、社会的信用を得やすいです。たとえば、結婚相手の親に受けが良かったり住宅ローンが通りやすかったりします。
職業としての安定性が評価されているのでしょうか。日常生活で、物事をちょっと有利に進められるエピソードですね。
3.非正規雇用でも、そこそこの給料を得られる
薬剤師は、パートでも時給2000円前後はもらえます。人の命や健康に関わる仕事なので、これを高いと見るかは悩ましいところですが、一般的には高給であるとされています。
薬剤師は女性が多いので、結婚や出産の後に仕事をセーブしても稼げる点は良いですね。
4.日常生活で知識を活かしやすい
風邪を引いたときや頭が痛いときなど、特に持病がなくとも薬を飲むシーンは多いもの。薬剤師は薬の専門家です。もちろん、薬のターゲットとなる病気についても勉強しています。
そのため、ちょっとした体調不良であれば自身で対処することも可能です。成分を見て市販薬を選んだり、飲み合わせを確認できたりします。また、家族が体調不良の際に軽く相談に乗れるのは嬉しいですよ。
薬剤師になって大変なこと
反対に、薬剤師になって大変だと思うこともたくさんあります。
メリットばかりの職業ではない事も、しっかり覚えておきたいですね。
1.そもそも、薬剤師になるまでが大変である
以前は4年制だった薬学部も、現在では医学部や歯学部と同様に6年制になっています。卒業までの6年間、みっちり勉強する必要があります。
そして、大変なのは自分だけではありません。薬学部の学費は高額なので、援助する親も大変です。それなりの覚悟をもって入学するようにしましょう。
学費については国立であれば「安い」ですが、とは言え6年間通う必要があります。
また私立であれば、おおむね6年間トータルで1,200万円程度は掛かると考えた方が良いでしょう。
2.常に勉強しなければいけない
薬剤師国家試験に合格した後も、勉強は続きます。むしろ、そこからがスタートです。医療の世界は日進月歩。
新薬が登場したり新しい治療法が確立されたり、目まぐるしいスピードで変化していきます。薬剤師として、そのたびに知識をアップデートしていく必要があります。
どの仕事も勉強し続ける姿勢は大切ですが、薬剤師のように医療系の職種では特に重要です。
3.基本的に立ち仕事である
薬剤師の仕事は、基本的に立ち仕事です。座り仕事と立ち仕事のどちらが好きかは、人によるかもしれません。しかし、体力的には立ち仕事の方がハードではないでしょうか。
ちょっと体調が悪い日であっても、職場で椅子に座れないのは結構つらいものです。デスクワークをしたい人には、薬剤師になることはおすすめできません。
4.土日休みとは限らない
薬剤師で土日休みの人は少ないです。病院や薬局は、土曜日も営業している場合が多いからです。場合によっては、日曜日や祝日も営業していることも。
そのため、土日休みの友人と予定が合いづらくなります。なかなか会えず、気づいたら友人と疎遠になっていたという話もよく聞きます。
また、将来土日休みの人と結婚した場合、休日のリズムが合わなくなってしまいます。すれ違い生活から不仲の原因にもなりやすいので、注意が必要です。
そして、案外つらいのが連休がないことです。土曜日も営業している職場では、平日と日曜日が休みであることが多いです。3連休なんて夢のまた夢。たまにある2連休にすら、喜びを感じるようになります。
もちろん、平日休みにもメリットはあります。空いている平日にゆっくり買い物ができたり、銀行や役所に行きやすかったりするのは大きなメリットです。
土日休みと平日休みのどちらが良いかは、人によりますね。
職業として、薬剤師に将来性はあるのか?
ところで、職業選びで気になるのは将来性ですよね。薬剤師という職業に、将来性はあるのでしょうか。
薬剤師は「AIに乗っ取られる」だの「飽和状態になる」だの、好き勝手に言われています。しかし、そのどちらも今のところ現実的ではありません。
まず、AIに乗っ取られるのではないかという点についてです。実際に、薬剤師の業務も機械化は進んでいます。とは言え、それはあくまでも一部。薬剤師業務の大部分は、複雑な知識やコミュニケーション能力が求められるものです。まだまだ人間の力が必要不可欠です。
次に、薬剤師が飽和するのではないかという点です。
毎年大勢の薬剤師が誕生するので、飽和が懸念されています。しかし、薬剤師は女性が多いので、結婚や出産を機に退職したり仕事をセーブしたりする人も少なくありません。そのため、依然として人手不足になりやすい職業です。
もちろん、資格にあぐらをかいていれば、いずれは苦労することになるでしょう。しかし、それは薬剤師に限った話ではありませんよね。どんな資格であっても、常に技術や知識を磨き、人から選ばれる努力を忘れてはいけません。
結論:今の子供におすすめできるか?
それでは、今の子供に将来薬剤師の仕事はおすすめできるでしょうか?結論としては、薬剤師になりたいという気持ちをもっているなら目指すべきです。「勉強が好きで立ち仕事も苦ではない」なら、さらに良いですね。
薬剤師は、薬を通じて人々の健康に貢献できる仕事です。少しでも興味がある人は、夢に向かって頑張ってみてくださいね。